No.99 西の風新聞目次
拝啓 明君
平成21年8月28日付

拝啓 明君
 お元気ですか。明君にとっては小学校に入って2回目の夏休みを経験したわけですが、どんな夏休みだったでしょうか。しっかりしている明君のことだからもう宿題も全部終えて、あとは久しぶりに学校へ行くばかりのことでしょう。
 ところで明君、夏休み中の一日、8月15日は、私たち日本人にとって忘れられない日、忘れてはならない日といわれていますが、何の日であるかわかりますか。
 それは終戦記念日(日本がアメリカなどの国と戦争した第二次世界大戦・太平洋戦争が終わった日。)なのです。今から64年前の昭和20年8月15日のことでした。以降日本ではこの日を終戦記念日とし戦争で亡くなった人を追悼し、平和を祈念する日としています。
 私はそのとき8歳、小学校(当時は国民学校といっていました。)2年生でした。ちょうど今の明君と同じ歳でした。私は、東京・現新宿区の東大久保というところで生まれ、その日(昭和20年8月15日)の一年前位までは家族や近所のお友達と仲良く楽しく暮らしていました。やがて間もなく東京の空に戦争相手国の飛行機B29(爆撃するための飛行機)が空を埋め尽くすほど沢山飛来し爆弾を投下する、一般市民を対象にした無差別爆撃が行われるなどとは夢にも思っていませんでした。これを東京大空襲(3月10日)といい死んだ人は十万人を超えたそうです。同じ頃広島や長崎に投下された原子爆弾、全国の都市への空襲で多くの人々の命が奪われました。私の大好きだった二十歳そこそこの叔父さんも遠い南の島に派遣され戦死してしまいました。お父さんを戦地で亡くしたお友達も多数いました。
 どんな戦争だったのかについては、明君がこれから中学、高校へと進むにつれて勉強することになりますが、自分の頭でしっかり考える習慣を是非身に付けてもらいたいと思っています。
 5年前の8月、「戦争の恐ろしさ 風化させない―私の戦争体験記―(少年時代の記憶から)」というタイトルで本紙に2回にわたり各一ページ掲載したことがあります。(8/6付 8/13付)そんなに難しい文章で書いていないから明君にもいつか是非読んで欲しいと思っています。
 秋の学校生活は勉強、読書、運動など楽しいことがいっぱいあります。明君にとって有意義な学校生活となりますよう祈っています。お父さん、お母さんによろしく。            敬具
 
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