No.93 西の風新聞目次

サクラサク ―新大学生に―
平成21年4月3日付

「サクラサク」大学合格時に使用する電報文の定番と思っていたが、そうでもないらしい。東北大学「アオバモユル」、静岡大学「フジサンチョウセイフクス」など地方色豊かなものがある。「サクラサク」は、合格電報が最初に登場した昭和31年に早稲田大学が使用したのが始まりで広く普及したが、次第に各大学で特色ある文言が使われはじめたという。(「知泉」)

 ただいま列島は花見だよりが北上中だが、いち早く「サクラサク」の報を手にした新大学生たちは入学式の日を楽しみに待っていることだろう。
 わが国の大学は「入難出易」といわれ入学さえしてしまえば、大学で何をどのように学んだかあまり問われない傾向があるといわれてきたが、選り好みさえしなければ誰でも入れる「大学全入時代」の到来により、大学によっては学生確保競争のあまり「入易出易」となり、結果として大学に対しては「社会の期待にこたえる教育内容になっていない」「国際社会で通用するような成果を出していない」、学生に対しては「学習意欲や目的意識が全くない」などの批判がでることが予想される。
 4年間の大学を卒業するとその大学から「学士」という称号が与えられる。文部科学省からの諮問を受けて中央教育審議会は、大学卒業まで最低限身につけなければならない能力を「学士力」と定義して次のような4分野を参考指針として提言している。(学士課程教育の構築に向けて答申平成20年12月24日)外国語や難解な表現を多用しているのでわかりやすくするため原文のままではないが、以下に紹介する。

<各専攻分野を通じて培う学士力>
1学問を体系的に学ぶ(専攻する特定の学問分野における基本的な知識を体系的に学び理解する)
2汎用的技能の修得(知的活動でも職業生活や社会生活でも必要な技能を修得する)

具体的には
①コミュニケーション能力(正しい日本語、特定の外国語を用いて、読み、書き、話すことができる)
②情報活用力(インターネットなどで多様な情報を適切に使い、活用できる)
③論理的思考(情報や知識を分析、表現できる)
④問題解決力(問題を発見し、解決に必要な情報を収集・分析・整理し、その問題を確実に解決できる)

3態度・志向性の確立
① 自己管理能力(自らを律して行動できる)
②チームワーク、リーダーシップ(他者と協力して行動するなど目標実現のために方向性を示せる)
③倫理観(自分の良心と社会の規範やルールに従って行動できる)
④市民としての社会的責任(社会の一員としての意識を持ち、義務と権利を適正に行使しつつ、社会の発展のために積極的に関与できる)
⑤生涯学習力(卒業後も自ら学習できる)

4統合的な学習経験と創造的思考力(これまでに獲得した知識、技能、態度を総合的に活用し自らが立てた新たな課題にそれらを適用し、その課題を解決する能力)以上

 私が勧める大学在学中習得してもらいたい 三つのこと。
一専攻学問の徹底的追求(専攻の中で資格を取れるものは必ず取る あらゆる分野の本を読む)
二英会話は必ずマスター(第二外国語会話への挑戦)とそのための海外短期留学
三全国から集う仲間達との交流と生涯を通じての趣味づくりの模索)

※情報通信技術(ⅠCT)の駆使能力は論外なので除外してある。
 新大学生のみなさんのご健闘を心より祈っている。

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