No.89 西の風新聞目次
四海波静か
平成21年1月1日付

 わが国は、四方を太平洋、日本海、オホーツク海、東シナ海に囲まれ、海岸線の総延長が約3万㎞に及ぶ。中国の2倍、アメリカの1.5倍にあたる海洋国である。
 海岸線近くにはサンゴ礁、干潟、漁場、藻場、魚介類の産卵・成育場等環境・漁業資源が多く存在している。環境省ではこのたびこれらの保護を強化するため自然公園法を改正し、新たに「海域公園」(海の国立公園)を新設する準備を始めたという。(12月16日付読売夕刊) 海は活用の仕方によっては陸地同様の価値が出てくる。狭い国土のわが国にとって貴重な第二の国土だ。
 昨秋、第28回全国豊な海づくり大会が新潟・朱鷺メッセで開催された。この大会は、魚や貝などの水産資源を保護し増やすこと、海などの自然環境の大切さをみんなで考え、次代を担う子供たちへ引き継いでいこうという目的で、各都道府県で毎年開催されている。皇后陛下とともにご臨席された天皇陛下は次のようなおことばを述べられている。

 ―(略)県の北部を流れる三面(みおもて)川は、村上藩の青砥武平治綱義(あおとぶへいじつなよし)の建議により、遡上したサケを囲い込んで産卵させる「種川の制」というサケの増殖事業が18世紀後半に始められたところとして知られています。この制度により、一時は枯渇寸前までいったサケは次第に増加し、藩の財政を潤すことになりました。戦後三面川のサケに危機が訪れたこともありましたが、人々が協力して資源を守り増やすことに努め、漁獲高も順調に推移しています。現在三面川では、川を豊かに、そしてその川の注ぐ海を豊かにすることを目指して、漁業者、住民、ボランティアが「さけの森林(もり)づくり」に力を尽くしているとのことです。戦後各地で荒れた川が水質良好な水をたたえて流れるようになっていくことはうれしいことです。今日県内全域の川でサケの人工ふ化増殖の取組が盛んに行われており、多くの小学校で、漁業者の協力を得ながら稚魚の飼育や放流に取り組んでいると聞いています。小学生がこれらの経験を通して自分たちの住む地域の環境について考える機会を与えられることは意義深いことと思います。―

 「四海波静か」という表現がある。海に波が立っていないことから世界が静かで平和であるということにも使われる。安心して暮らせる年でありたいと心から願っている。

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