No.88 西の風新聞目次
ルール考
平成20年12月12日付
 人間社会は「ルール」に基づいて行動することにより良好な社会生活が保障されることになっている。学校においてもまた然りである。
 大人の社会では、先日“カメラ付き携帯電話で背後からズボン姿の女性の尻を隠し撮りした行為が迷惑防止条例違反”という最高裁小法廷の判決があった。
この種の事件までも最高裁で争われるとは一体世の中はどうなっているのだろうかと思っているのだが、社会ルールの判例が示されたことになる。
 中学生の社会では、神奈川県立高校の入学試験で、選考基準(学力テストなどの点数)では合格圏内の受験生を服装や態度の乱れを理由に不合格としたというケースがあった。
 校長に「著しく目立つことがあれば、記録するように」と指示された職員は入学願書の受付や試験の時に、“茶髪に染めた跡がある。爪が長い。願書受付日や受験日の態度が悪い。願書提出時に軍手をつけたままで受け渡しをした。胸ボタンを外している。服装がだらしない。ズボンを引きずっている。スカートが短い。眉をそった跡がある。化粧をしている”等のチェック項目を記入し、合否判定の資料にしたという。県教育委員会は公表した基準と違う選考方法で不適切だったとして校長を更迭した。(朝日・読売新聞等から)
 この一連の出来事を巡っていろいろ議論されている。成績さえ良ければ、或いは点数だけ取れればたとえ受験生の素行に問題があってもよしとするのか、公立高校だからこのような選考基準は許されないのか、事前に公表すれば許されるのか等々。
 大阪府教育委員会が公立小中学校への児童生徒による携帯電話の持ち込みを原則禁止するというニュースが飛び込んできた。府内公立小中学校ではほとんどが持ち込みを禁じているものの、携帯メールや学校裏サイトへの書き込みによるいじめが絶えず、携帯使用に伴う学習時間の減少も目立つため改めて禁止を掲げることにしたということである。
 ルールを決めるのは学校としても、それを守るように教育するのは学校・保護者・社会の責任といってしまえば学校現場の苦しみを知らぬ小利口な回答となってしまう。前段の最高裁の判決ではないが、「過度の携帯への依存は学習、健康への妨げになる。ルールを決めたら守らせるのは保護者の責任だ。」(大阪府知事)という鶴の一声を待つしか道がないのだろうか。思案のしどころである。

 index        西の風目次 
2002・8・9~ Produce byIchiro Akami