No.71 西の風新聞目次
漢  字
平成19年11月2日付
 5年振りに中国・北京を訪問した。オリンピックを来年8月に控え、街はビルの建設ラッシュ等で活気づいている。さすがに漢字発祥の国だけあって林立する広告塔は殆どが漢字で書かれている。意味するところは大体判断できるが、困ったことは中国独自の大胆な略字が結構多いことであった。例えば北京中心部から世界的に著名な電子製品の会社や大学が立地することで有名な「中関村地区」への道路標識は「関」の字は「門」が省略されて表示されている。

 そもそも「漢字」は古代中国で生まれた文字で中国語を表記するための文字である。中国文化の影響を受けた周辺諸国の日本をはじめベトナム、韓国、北朝鮮に伝えられ、漢字文化圏を形成してきた歴史がある。現在は、ベトナム、北朝鮮では公式には使用されていない。韓国でもハングルとの併用があるが、ほとんど用いられなくなっている。それぞれの国の政策で漢字を簡略化したり、使用の制限を行ったりしたため文字体系は共有されていないのが現状である。

 北京で我々日本人が知らない略字が氾濫しているので、現地の民族大学日本語専門科の学生に冗談半分に「漢字を本家本元の中国で勝手に簡略されて困惑している。」と話したところ、困った顔をして答えが返って来なかった。

 最近、新聞や週刊誌に「日本語漢字辞典」という出版広告が大きく掲載されているのに気づいた読者もおられることだろう。推薦のことばとして藤原正彦氏が次のようなことを書いている。
― 漢字独立宣言。
漢字は日本語である!
漢字文化は日本文化である。本書はその立場に立った初めての辞典である。これからは、漢文を読むには漢和辞典、日本語を読むためには『日本語漢字辞典』ということになるだろう。漢字伝来以来、ここまで来るのに一五〇〇年かかったということである。国語史における偉業である。 ―

 かわいい小学生達も勉学の秋をむかえ、それぞれの学校・家庭・地域で有意義な生活を送っていることだろう。その子供達ががんばらなければならないことの一つに「漢字の学習」がある。
小学生が6年間に学ぶ漢字は、国が定める学習指導要領の学年別漢字配当表に明記され第一学年「学」等の80字から第六学年「看」等の181字までの合計1006字となっている。
    がんばろうね。
         小学生の皆さん。

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