No.63 西の風新聞目次
情 意(こころ)  
平成19年4月6日付

 
 桜のたよりに沸く日本列島、学校は入学式・新学期と華やかな季節を迎えている。桜の開花と入学式は切っても切れない日本の風物詩なのであるが、折からの暖冬異変で今年はすれ違い模様だ。

 子供たちは小中高大学とそれぞれ進んで行く過程を通して成長していくがとりわけ小学校の入学式と桜に、ある種特別な感慨を持つのは私だけではないだろう。西多摩地区初の私立小学校としてあきる野市菅生の高台に菅生学園初等学校がこの4月1日、誕生した。開校が明治初頭という伝統ある学校が多くある公立小学校、独自の校風を持つ私立小学校とともに初等教育を担うことになる。

 菅生学園初等学校の教育の理念は、「歩き 考え 学ぶ」においている。豊な自然の中で、大地にしっかりと足を付けて歩き、たくましい人になってもらいたい(歩き)。人間としての生き方の基本を身につける人になってほしい(考え)。そして、確かな学力に基づく高い志をもち、意欲的にチャレンジする人になってほしい(学ぶ)との願いを込めて開校した。

 重点目標の一つに「情意(こころ)の涵養」がある。姿・形の教育に力点を置き品格をまず形から作るとの考えから、様々な体験を通じて正しい所作を学び、躾や人間としての生き方を身につけさせることにしている。
話は変わるが、大学同窓会を通じての友人、立川市のH氏から一冊の本をいただいた。本の題名は「森信三 教師のための一日一語」(寺田一清編地知出版社1115円)である。

 森信三は、明治29年愛知県に生まれ苦学をしながら師範学校を出て小学校教師となり、後に京都大学哲学科に学び神戸大学教育学部教授等を勤めた哲学者、教育者である。随所に人生語録や教育語録が書かれており、単に教職にある者だけを対象としたものではない構成となっている。
森先生は人間の生き方の根本として「朝の挨拶」「ハイの返事」「履物を揃える」の三つを挙げ、この当たり前のことができたら人間の基本ができたようなものだといっている。

 ある年、あきる野市戸倉にある光厳寺の大桜の傍で花見をした時、山門横の掲示板に次のようなことが書かれていたことを思い出した。

 日常の五心
 ハイという素直な心
 スミマセンという反省の心
 オカゲサマという謙虚な心
 ワタシガシマスという奉仕の心
 アリガトウという感謝の心
  いずれも情意(こころ)の涵養の大切さを説いている。




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