No.6 西の風新聞目次
学校週5日 やめます」について
2003年11月8日付

筆者注 掲載された表題は「学校五日制やめよう」となっているが、ここでは原 稿どおり上記の表題とする。

 子どもの教育に学校の先生が果たす役割の重要性に焦点を当て3回にわたり私の思い出の先生を紹介してきた。
 シリーズの締めくくりとして「校長先生」に登場していただくことで準備をすすめていたが、去る10月19日付読売新聞夕刊(4版)一面トップで我が菅生学園(東海大学菅生中学校)に関わる表題の記事が大きく扱われ、各方面に反響と関心を呼ぶことになり、関係者の1人として若干のコメントをする必要があると思い急遽入れ替えることにした。

 記事の内容は、菅生中学校が、昨年度導入した「学校完全5日制」を取りやめ、来春から「6日制」に戻すことになったというものである。

 6日制に戻すことになった理由を簡潔に挙げれば2つある。1つは本校保護者の心配の解消を図ることであり、もう1つは学校としての考えによるものである。

 前者の心配とは、5日制では「土曜日が有効に活用されていない。テレビ・ゲームに興じている」「学力の低下につながるのでは」(6月実施 保護者アンケートから)ということ、後者については、5日制で授業時間確保のため7時間目まで使った過密な授業を展開するよりは、土曜日を活用してゆったりとした時間を組み、結果として教科の授業増につながり、尚且つ生徒の成長にとって大切な教科外活動等の時間の確保が可能になるとの考えによるものである。

 学校5日制を我が国に定着させようとした背景の1つに「学力観」の再考があったが、結論としてこれからの時代を生きていくためには従来の学力観の主流であった「知識の量で測る学力」ではなく、「自ら考え、学ぶ力」こそが必要とした。これがいわゆる「新学力観」というものである。

 この新学力観に基づいて、従来の画一的な学校教育に偏重することを排して家庭、地域にもその役割を担ってもらう、そして学校で学習する内容も削減の方向で改訂して週5日制をスタートさせた。いわば学校の受け持ち部分をスリム化して、家庭・学校・地域社会の役割分担を再構築したことが原点の1つにある。

 菅生中学校は、この考えは是としても、「学校」の果たす役割の重要性を痛感し、「生徒達が、学校に来て勉強したりクラブ活動に打ち込める日を増やし、ゆとりある時間割でバランスよい成長を期するため」6日制に戻したのである。
 教職員達も変形労働時間制を採用する学園の方針の中で週6日、生徒指導に全力を挙げることにしている。
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