No.59 西の風新聞目次
教 師 考
平成19年1月12日付

 昨今教師に対する風当たりがことのほか強いのであるが、そのことが懸命にがんばっている教師たちを自信消失に追い込むことになりはしないかと私は危惧している。

 そんな折、1月5日付読売新聞朝刊に次のような記事が掲載されていた。タイトルは「教師の悩みホットライン」とあり、内容を要約すれば、いじめ問題をはじめ、子どもとの接し方やクラスの運営、保護者への対応など、学校現場で働く教師たちの悩みに耳を傾けようと、読売新聞東京本社などは今月13、14日、「教師のための臨時ホットライン」を設ける。そこで教師たちの悩みや相談を聞いてともに改善策を考えるというもので、相談員を務めるのは経験豊かな教師や教師OB、教育相談のベテランなどとのことである。

 私の接する限りでは大方の教師たちは、子どもたちの健全な成長のため真面目に、真剣に取り組んでいる。そもそも子どもの教育は、手のかかるものなのであって、合理化を求めながら採算性を念頭において作り上げるいわゆる“ものづくり”とは根本的に異なるものなのである。教育への期待が大きいあまり結果を早く求める傾向にあることを私は心配している。「教育の計は百年」と言われるがその成果は長い目でみなければならないものなのだろう。

とはいえ教師たちは子どもたちや保護者はもとより世間の声に積極的に耳を傾け、その欠点を是正し、資質の向上に努めなければならないことはいうまでもない。

中央教育審議会が平成17年10月に発表した「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」にあるべき教師像の三要素が明示されている。参考までに揚げてみよう。
①教職に対する強い情熱(教師の仕事に対する使命感や誇り、子どもに対する愛情や責任感など)
②教育の専門家としての確かな力量(子ども理解力、児童・生徒指導力、集団指導の力、学級作りの力、学習指導・授業作りの力、教材解釈の力など)
③総合的な人間力(豊かな人間性や社会性、常識と教養、礼儀作法をはじめ対人間関係能力、コミュニケーション能力などの人格的資質を備えていること)

教職にある者は皆、この提言に照らして果たして自分はどうなんだろう、努力すべきは何かと静かに考える位の度量と余裕を持ちたいものだ。
賢明なる教師たちの健闘を心より期待している。


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