No.52 西の風新聞目次
基礎学力の向上と教師の責任 
平成18年7月28日付

 愛読紙の一つに「都議会だより」がある。東京都議会広報課が発行し一般新聞に折り込まれて広く都民に配布されている。 最近号に6月14日本会議の一般質問(要旨)が掲載されている。その中の一つに次のようなものがあった。

―「到達目標で学力低下に歯止めを<学力低下>誰もが確実に身につけるべき到達目標を示し教員の責任範囲を明確にすべき。」という議員の質問に対する教育長答弁「最低限の学習内容を明確化し教師の指導目標の際に活用できるようにする。」―
紙上わずか四行(質問二行答弁二行)の記事ではあるが、学校教育を考える上で大切なことが凝縮されていると私は思っている。
文部科学省(国立教育政策研究所)は、全国の4年生から中学3年生(全国の国公私立の小・中学生約3万7000人抽出)を対象に実施した漢字の読み書きと作文(国語)、計算力と数学的考え方(算数・数学)の学力調査結果を6月14日発表した。

 調査に臨んだ子どもたちが「挙手(きょしゅ)を(けんしゅ)小4」「改行(かいぎょう)を(かいこう)小5」と読んだり、「しゅりょく(主力)を(手力)小4」「こうせき(功績)を(攻績)中2」と書いたりして、悪戦苦闘ぶりが目に浮かぶ。

 小学生には「テレビの見方」、中学生には「言葉の使い方」のテーマで作文(小学生は400〜600字、中学生は600〜800字)を書かせ文章を書く力も調査された。

 調査の結果、子ども達の基礎学力(読み書き・計算力)について指導上考えなければならない課題が指摘されたが、これを契機に関係者間で指導方法の改善策について具体的検討・取り組みが展開されることを期待したい。

 子どもの教育の最前線に立つ「教師」とは大変な仕事だと常々思っている。学力低下、いじめ、不登校、果ては問題行動事件までもすべて責任を追及される。肉体的にも精神的にも激務であっても愚痴をこぼすことが許されないのが教職というものなのだろう。保護者をはじめとした国民から学校現場を離れても「先生」といわれ尊敬され、一般より高い報酬を支払われる所以がそこにあるのである。 

―現場の教師たちも、教科研修の場等で、(学力調査)報告書の示す改善策について話し合ってみてはどうだろう。子どもの基礎学力を向上させる、実効性ある指導につなげたい。(読売新聞社説〉―


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