No.46 西の風新聞目次
母校の教え
平成18年3月17日付

 『人のお世話にならぬよう
     人のお世話をするよう
        そしてむくいをもとめぬよう』

 これは我が母校村上市立村上小学校(新潟県)の教育目標になっている言葉である。
 表題は「自治三訣」、「大正十五年六月 新平」と署名され校長室には、書が額に入れ掲げられ、玄関前のひろばには石碑に刻まれておかれている。
 「新平」とは「後藤新平」のことであるが、後藤新平(安政4年6月4日〜昭和4年4月13日)は逓信・内務・外務の大臣、東京市(現・東京都)第7代市長などを務めた明治・大正時代の政治家である。後藤はボーイスカウト日本連盟の初代総長として全国巡回講演会を数多く実施したという。(出典フリー百科事典「ウィキペディア」)
 村上小学校現校長渡辺伸栄先生は、学校だより(平成十七年六月発行)で次のようなことを記している。
『(後藤新平は)少年団日本連盟総裁(ボーイスカウトの前進といわれている)も務められており、青少年に自治の精神を涵養することにずいぶん力を入れていたとのことです。自治三訣は後藤新平が様々な機会に青少年に呼びかけた言葉だと思われます。当校の学校沿革誌には、大正十五年六月十九日に後藤新平先生が村上小学校の運動場で当時の尋常六年以上、高等科、中学校、女学校の児童生徒を集め、講演会を実施したことが記録されています。
 おそらく、後藤先生は、次代を担う青少年の生き方について熱く語ったものと思われます。その時の書をそのまま村上小学校に残してくださったのではないでしょうか。』
 
 ところで「自治三訣」という言葉についてであるが、「自治」は「自分で自分のことを処置すること」、「三訣」の「訣」とは「奥義」(いずれも広辞苑から)を意味する。簡単にいえば「自分が立派に生きていくために大切な三つのこと」ということになろうか。
 私がこの小学校を卒業したのは、昭和二十五年三月のこと。母手作りのセーターとズボン姿で、父に買ってもらった底がツルツルのゴム長靴を履いて雪の中、式に臨んだことを思い出す。
その日校長室を訪れサインしてもらった「健と美と そして聡明と」とともに「自治三訣」は遠い昔の母校の教えとして私の胸に大切に留め置きたいと思っている。


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