No.44 西の風新聞目次
少子化対策と義務教育の延長
平成18年2月3日付

読売新聞1月1日付一面トップに『幼稚園から義務教育 延長幅1〜2年 政府・与党09年度導入目指す』という記事が掲載された。

その要旨は、現在小中学校9年間と定められている義務教育に幼稚園などの幼児教育を加え、期間を10年から11年程度に延長するというものだ。ねらいは二つある。一つは、近年の学校現場における問題(「小学校低学年で、集団生活になじめない児童が騒いで授業が混乱する」など)に対応した学習指導体系の見直し、二つ目は、幼児教育を無償にして、少子化対策を強化することにある。
とりわけ無償化を堅持した上での幼児教育を取り込んだ義務教育年限延長案は、子育て中の若い夫婦にとって経済的支援に加えて教育的支援の面からも効果的なものとなろう。

わが国は明治以降経験したことのない人口減少社会に突入した。それも予想していたより早く、加速的に進むという。これを受けて政府は少子化対策推進会議を設置し、総合対策の検討に着手している。

猪口邦子少子化担当大臣は「出産費無料化の検討」を提示したという。大臣は、少子化対策は産めよ増やせの復古調ではない。結婚、出産は民主主義における個人の選択という前提に立った議論でなければならない(1月20 日付毎日新聞)と言っているが、同感だ。

短絡的な話で恐縮だが、財源措置上、仮に「出産費の無料化」と「義務教育の延長」を二者択一するとすれば、私は躊躇することなく後者を選択する。何故ならば大多数の若い夫婦たちは出産費の捻出もさることながら、生んだ後に来る幼稚園・保育所の保育料負担の心配、更には子どもの教育に対する不安を抱えているからだ。

幼稚園・保育所の幼児を取り込んだ義務教育化を機会に学校を従来の学校教育論(いわゆる「学校のスリム化論」。子どもの教育は全て学校にまかせるのではなく家庭、地域などでも相応の分担をすべきだという考え方)にとらわれることなく、例えば児童の放課後の育成(クラブ活動の充実など)、週五日制の反省、長期休業期間中の過ごし方等を含めた総合的教育施設として再構築したいものだ。

学校教育は人間の営む最高の事業である。学校のサービス機能の拡充を図ること(私はこれを「大♀w校論」という。)は多くの親たちの望むところであり、時代の要請でもあると考えている。




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