No.41 西の風新聞目次
ゼロ・トレランス
2005年11月18日付


 文科省は長崎県佐世保市での小六児童殺害事件を受け昨年六月に「児童生徒の問題行動に関するプロジェクトチーム」を設置、「児童生徒の問題行動対策重点プログラム」を作成し諸施策を講じてきた。
しかし本年に入っても、山口県立光高等学校爆発物傷害事件、東京都板橋区管理人夫婦殺害事件、福岡市高等専修学校生包丁刺殺事件、長崎県平戸市児童バット殴打事件、明徳義塾高等学校ナイフ傷害事件(前記いずれも六月)、宮城県登米市警察官傷害事件(八月)と児童生徒による重大な問題行動が相次いでいることを重視した文科省はその対応策として「新・児童生徒の問題行動対策重点プログラム」を検討している。

去る九月、中間まとめが発表されたが、そこには当面の対応策(生徒指導体制の強化)として―学校内規律の維持を指向する「ゼロ・トレランス(毅然とした対応)方式」のような生徒指導の取り組みを調査・研究するなど生徒指導体制の在り方について見直しを図る。―と明記されている。

「ゼロ・トレランス方式」…。聞きなれない言葉だが毎日新聞の解説によれば、本来は米国産業界で「不良品を絶対許さない」という品質管理の考え方を示す言葉のようだ。レーガン時代の八十年代、スラム地区の荒れた学校に導入されたのが始まりとされる。学校での銃乱射事件などを背景に米連邦議会が九十四年、各州に同方式の法案化を義務付け、クリントン大統領(当時)が九十七年全米に導入を呼びかけて一気に広まったという。

寛容度ゼロ指導
米国流学校に規律と罰則∞文科省が検討≠ニの大見出しで毎日新聞十月十三日付朝刊に大々的に報じられた。

「トレランス」は、英語で「寛容」を意味するので「ゼロ・トレランス」とは「寛容度ゼロ」ともいうのであるが、学校が規律と懲戒を事前に明示し違反者は例外なく処分する指導法、米国では荒廃した学校の再生に効果があったとされるこの指導法の導入について文科省の担当課長は「米国の方式を日本にそのまま持ち込むことは難しいが、参考にできる部分はあるだろう」と話している。「問題行動に走る子の心理を真正面から見つめることが必要。導入は教育の自殺に等しい」「学校は総じて教師への暴力や暴言で荒れている。一刻も早く導入すべきだ。」など専門家の間では賛否両論がある。読者の皆さんは如何お考えだろうか。


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