No.34 西の風新聞目次
ドラゴン桜 
2005年6月10日付
 表題のマンガ本(講談社発行本体価格五一四円)が東大を目指す高校生達の間で静かなブームを起こしているという。
副題に「東大合格請負漫画」「教えてやる東大は簡単だ」「俺が東大に行かせてやる」等の過激な言葉が並んでいる。
東大生協にも並べられていて結構売れているそうだ。著名な中学受験誌編集長によれば、マンガといえどもその主張には、例えば学力向上のための効率的な学習方法についての提案等もある種の真理があって受験生より指導者(教員)に読ませたい位だと言っている。

一方、都内の某教育研究所が興味深い資料を発行している。
「中学校学期評定と学力テスト得点の相関」についてである。平成十六年二月東京都がはじめて実施した(学力向上を図るための)学力調査テスト(中学校二年生対象)の得点(市区別)とその生徒が学年進行した三年生二学期評定の相関が一目瞭然の形で表されている。
学力調査テストは五教科平均点の合計(五百点満点)で市区別にまとめられトップの小金井市(四〇八・九点)をはじめ最下位のM市(三四四・四点)にいたるまで全市区の状況が掲載されている。
前記テストを受けた生徒の三年生二学期五教科五段階評定の市区別公立中学校の平均値もあわせて掲載されている。全都一斉学力調査で測られた「学力」と平常各学校で教師が生徒個々の学習到達度を見て評定する数値(いわゆる成績表)の関係が一目瞭然で興味深い。

全都一斉学力テストの点数が低いのに評定はよい、又その反対というようにテスト結果と公立中学校の先生方の評定において微妙な乖離があることを示している。
小中学校教育は、社会の形成者として必要な資質を養うことにあるのだから、単に学力テストの調査結果に一喜一憂することはないのかもしれない。しかし学校教育が教科指導に大きなウェートを置く以上、学校が設定する教科毎の到達目標に対して小中学生がどの程度到達しているのかという点を気にしなければならないことも事実である。多くの父母・関係者はそのことを注目している。

前記学力テストで市区別で最下位となったM市教育委員会では、いち早く「市立学校の学力向上策」というタイトルで提案書をまとめ、保護者向けに協力依頼をした。家庭において実践して欲しいこととして「学習時間を確保し、毎日勉強させよう。」「読書時間を確保し本に親しませよう」等を挙げている。

小中学生の学力向上には、一に教師の工夫と力量、ニに親の協力、三にそれを支援する教育行政の的確なバックアップによるところが多い。


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2002・8・9〜 Produce byIchiro Akami