No.30 西の風新聞目次
教科書採択
2004年11月19日付


 現在我が国の教科書制度では民間の教科書発行者が、国で定めた学習指導要領、教科用図書検定基準等をもとに創意工夫して著作・編集した図書を文部科学大臣の検定を経てはじめて学校で使用する教科書としての資格を与えられることになっています。これを検定済教科書といいます。

 検定済教科書は各教科とも数種類ありますので、この中から学校で使用する一種類の教科書を決定する必要があります。これを「教科書採択」といいます。
採択の権限は公立学校については、その学校を設置する市町村や都道府県の教育委員会、国・私立学校については校長にあります。

 このように大部分の小中学生が通う市町村立小中学校で使用される教科書の採択の権限は市町村教育委員会にあるのです。そして採択に当っては、法の定めるところにより「市若しくは郡の区域又はこれらの区域をあわせた地域」を採択地区として設定し、調査、検討を経て教科ごとに同一の教科書を採択することになっています。

 西多摩地域では、現在四市がそれぞれ独立した採択地区を設定、郡内町村がまとまって一つを設定しています。
 かつて秋川市(あきる野市)は西多摩郡町村と共同の採択地区を設定していました。
 いろいろな考え方もありましたが、西多摩地区(とりわけ秋川流域地域)は自然的、経済的、文化的、歴史的にも共同で同じ教科書を採択することが良いと考え、法もまたそれを認めていますので共同で議論を重ねながら進めてきたものでした。

 本年決定された小学校平成十七年度使用教科書の採択全国状況が、日本教育新聞(十月八日、二十二日付)に掲載されていましたが、ちなみに西多摩地域各市町村教育委員会ではどのような教科書を採択したのか「算数」、「国語」、「生活」の例を見てみましょう。

 「算数」は青梅市・福生市・あきる野市が東京書籍発行の教科書を、羽村市・西多摩郡が学校図書発行のものを採択しております。「国語」は福生市のみが東京書籍で、あとの市郡は全て光村図書出版となっています。

 小学校低学年で使用する「生活」は、青梅市(学校図書)、福生市(新興出版社啓林館)、羽村市(教育出版)、あきる野市・西多摩郡(東京書籍)となっていて自治体ごとに使用する教科書が異なっているのが現状です。このことをどのように考えるかについては読者の皆さんにお任せすることにいたしましょう。

 子どもたちに何気なく渡される教科書も実はいろいろな場面でそれぞれの責任と権限のもとにチェックが入っていることがおわかりいただけたかと思います。(学校法人菅生学園常勤理事)


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2002・8・9〜 Produce byIchiro Akami