No.18 西の風新聞目次
大人・親達の問題
2003年12月26日付

 毎週一回昼食をはさんで集うロータリークラブには会員等が講師となって三十分程のスピーチをする「卓話」がある。

 先日会員のI氏が興味深い話をした。要約すると
「(ある都立高校で)授業料を滞納している親に学校が問い合わせをしたらその親曰く子供の携帯電話料金を支払うのに精一杯で授業料まで手がまわらないと。一体こんな親をどうすればよいのだろうか。つくづく考えさせられた。」という内容であった。

 学校給食にも似たような話がある。ある市の例で月額小学生三八〇〇円(一食単価約二三五円)、中学生四二〇〇円(約二七五円)の給食費で、栄養価を配慮した安全で美味しい昼食が食べられるので小中学生はもちろんのことお母さん方からも大変喜ばれている。

 この学校給食にも大きな問題がある。その一つが滞納、給食費を払わない親達がいてその金額が多額となっているという問題だ。 市規則には、支払い可能な状態であるにもかかわらず一定期間滞納した場合、給食を一時停止することが出来ると明記されている。簡単にいえば、親が給食費を払わなければ子供に給食は出さなくともよいということなのであるが、学校教育の場において特定の子供にそんなことが出来る筈がない。

 図書館では、新刊雑誌を貸し出すと自分で必要な部分があれば、館内のコピー機で複写すればよいのに、そこを切り抜いて自分のものにしてしまう大人もいるという。

 高速道路の路肩走行は、緊急を除いて厳しく禁止されているのに渋滞で辛抱強く待っている多くの車両を横目に家族を乗せた乗用車を我がもの顔で路肩走行して行く大人達。

 一体いつからこのような行為が平然とまかり通る国に成り下がってしまったのか。大人・親の姿を見て育つ子供達、これでは人間性豊かな子供を育てることは到底できまい。 

 憲法第十四条に「法の下の平等」が定められているようにそもそも人間には貴賎はないのであるが、「徳」に焦点を当てて考えるとすれば、もしかすると人間にも貴賎が存在するのかも知れない。

 「人間だけが赤面できる動物である。あるいはそうする必要のある動物である。赤面するのは恥を知っているからであり、恥を知ることが人間らしさを示すことにもなる。(マーク・トウェーンアメリカの小説家一八三五〜一九一〇)」
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