No.16 西の風新聞目次
家庭学習のすすめ
2003年11月7日付

 前回(十月十日付)このコラム(「基礎学力の大切さ」)で紹介した小中学生に対する全国一斉学力テスト(文部科学省による教育課程実施状況調査平成十三年実施)で、国社数理英などの科目別テストの他に児童・生徒の意識調査が行われた。

 設問の一つに「学校の授業時間以外に一日(平日)どのくらい勉強するか」というのがあった。塾、家庭教師との勉強も含むとしたものであったので純粋な意味での家庭学習の時間を知ることはできなかったが、わが国の子どもたちが学校以外で勉強する時間が少ないことは、経済開発機構(OECD)が平成十二年に実施した「学習到達度調査」における「宿題や自分の勉強をする時間」がOECD加盟国二十七カ国中最低であったことからも伺い知れる。

 また、去る十月七日中央教育審議会が文部科学大臣に答申した(「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」)の中にもわが国の子どもたちは勉強を好きだと思う子どもが少ないなど学習意欲が必ずしも高くない点、学校の授業以外の勉強時間が少なく学習習慣が十分身についていないことなどの点で課題が指摘されていることを記述している。

 勉強は学校だけでよい。あとはのびのびと遊べという人も多くいて私も否定するつもりはないが、ただ子どもたちの生活習慣(例えば学校へ行く前に朝食をとる。学校に持っていくものを前日かその日の朝に確認する。宿題・予復習をするなど)のひとつに毎日家庭で自発的に学習することを取り入れたいと考えている一人なのである。

  現在公立各小中学校では完全学校週五日制の実施とともに「あまりに多くのことを教えるなかれ。しかし、教えるべきことは徹底的に教えるべし。」(ホワイトヘッド一八六一年〜一九四七年イギリスの哲学者)の精神を生かした新しい学習指導要領(国が定める学校で教えることの基準)に基づき「詰め込み教育」の反省から学校で教える時間・内容を削減した「ゆとりの教育」への転換をはかる中で、基礎・基本の徹底に力を入れることにしている。この方針を実りあるものとするためには今まで以上に学校・家庭の二人三脚が必要だ。

 家庭学習は一日に学年×十五分が目安(「本当の学力をつける本」文藝春秋刊陰山英男著)という説もある。
 子どもの健やかな成長のため各家庭のご努力を心から期待しているものである。
 index        西の風目次 
2002・8・9〜 Produce byIchiro Akami