No.111 西の風新聞目次

「成功の山」の話
平成22年11月19日付

 自分の目標に向かってひたむきに努力しようとする態度を養うことの大切さを中学生達に語った教材として「成功の山」という講話がある。
 作者は増子喜一郎という。慶応元年(一八六五年)北越後(現新潟県村上市)の貧しい農家の一人っ子として生まれ、さまざまな困難を乗り越えて勉学への初心を貫いた人であった。
 彼は早稲田大学の前身、東京専門学校に学び卒業後、寄宿舎の舎監となり、早稲田中学校創設に参加し以後二十八年間一切の名誉や処遇を断わり同校一介の教師として心血を注いだ。時の早稲田大学学長(後に総長)高田早苗が「彼は偉大な教育者である。」と称賛した人物である。

<講話のあらすじ>
 中学校で学ぶ生徒に対して、勉学の道のりを山(「成功の山」)登りにたとえて話を進め、山頂をきわめるのは容易なことでない、初心を貫くことの大切さを諭す。
 まず麓には「朝寝坊の森」がある。→その森を無事過ぎると「誘惑の坂」にさしかかる。(わき目も振らず一生懸命上ろう。)→その坂を上り終わると今度は「生意気峠」(例 親の意見が全然耳に入らない)に差し掛かる。→その峠から道は二手に分かれる。→一つは「不良沼」への道、もう一つは「真面目野」に出る道だ。→「真面目野」へ行く道を探して歩くこと。「成功の山」の頂上にいく分かれ道だ。→「真面目野」の向こうに険しい「試験ケ岳」が聳えている。→これを越すには二つの道がある「予習の川」を渡り、「復習の橋」を過ぎていく険しい道ともう一本の道は極めて楽な道だ。→楽な道を選んではならない。はじめはいたって楽な道だが急に道は険しくなり、つい滑って這い上がることが難しい「堕落の淵」に落ち込んでしまう。→「試験ケ岳」を首尾よく越して上れば「成功の山」の頂上だ。


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