No.108 西の風新聞目次
地域別5連休案に思うこと
平成22年3月19日付

 政府(観光庁)は、現在ゴールデンウイークなど全国一斉に実施している大型連休を、春は新緑、秋は紅葉を追って日本を五つの地域に分け順番に5連休にする案を発表した。
 憲法記念日、こどもの日、海の日、敬老の日、体育の日の祝日は、記念日として残すものの休日とせず、地域(「北海道・東北・北関東」「南関東」「中部・北陸・信越」「近畿」「中国・四国・九州・沖縄」の5地域)ごとに前記祝日の休日をずらし春秋2回の大型連休を取れるよう制度改正に乗り出すという案である。
 これに対して全国小学校校長会からは「国民が一緒に祝日を祝うという精神、文化が弱まる」、学校関係者からは「部活動や全国大会開催に影響が出る」、経済界からは「地域ごとに休みが違うと仕事上の取引に支障がでる」など反発する意見が相次いだという。
 そもそもこの発案者が観光庁というだけあって観光産業の振興(観光客増)に軸足をおいたものなのであるが、読売新聞社説(3月9日付け)は“観光優先では安易に過ぎる”というタイトルで貧弱な発想に違和感を抱く人も多いのではないかと指摘している。
 そういえば、成人の日1月15日、敬老の日9月15日、体育の日10月10日と日付が固定されていた制度からハッピーマンデー制度(土日月と3連休にして余暇を過ごそうという趣旨)のもと成人の日(1月の第2月曜日 2000年施行)、敬老の日(9月の第3月曜日2003年施行)、体育の日(10月の第2月曜日2000年施行)と特定の月曜日に移動させた法改正が施行されたこともあった。
 “「敬老の日」など一部の祝日を月曜日とするハッピーマンデーの制度は、経済や教育にどんな影響をおよぼしているのか。そうした検証作業も必要であろう。”(読売社説結び)

国民の祝日に関する法律
第一条【意義】自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、よりよき豊かな生活を築きあげるために、国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。
 人間が便利さを追求するあまり人間臭さを失うことが恐ろしい。(3/13夜NHKTV文化庁芸術祭大賞ドラマ「火の魚」―原作室生犀星―視聴後に記す。)

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