No.106 西の風新聞目次
著書 川柳と共に
平成22年2月5日付

 かつて仕事の上でいろいろとご指導いただいた方から表題の書物をいただいた。その人(著者)は田中泰治さんといって旧秋川市議会議員・議長などの公職で活躍され、同じ草花地内に住んでいることもあって公私にわたりお世話になった方でもある。
 著書の巻頭に写真と「川柳と共に歩んで八十歳 大澄泰太郎 田中泰治」と記したサインがあるが、氏は大澄泰太郎というペンネームで川柳を書き、読売新聞(多摩川柳欄)に投句し度々入選する腕前の持ち主である。多摩川柳の入選回数をもとに大相撲の番付に似せて作成する多摩川柳番付表にしばしば横綱と位置づけられたことがそれを証明している。
 もうかれこれ10年も前のことであるが、私の毎朝の楽しみの一つはゆっくり紅茶を飲みながら新聞の川柳欄に目を通し、田中さんの作品が載っていないか確認することであった。そして掲載された句に意気投合すると早朝にもかかわらずすかさずご本人に電話して「いい句ですね。感激しました。」とお話することであった。
 川柳は、俳句と同じで5・7・5の17音字で成立っている定型詩であるが、内容が人間の行動をうまくとらえて風刺するところが俳句と趣を異にしている。
 時の社会事象に目を付けそれを題材に短い文章の中で面白おかしく語り批評する、そのおかしさがなんともいえないのが川柳と私は思っているが、田中さんはまさにその名人なのである。
 失礼ながら新聞に全国版・秀作として掲載されたたくさんの名作の中から私が特に気に入った句をいくつか紹介する。 

  将来は高齢省が出来そうだ     59・10
  タカラクジ今年もタ抜きで懲りもせず62・12
  カラオケのマイク握れば苦労消え  8・12
  自慢だけして要件を忘れ去り    12・10
  長寿国老人社会に青年部  13・10
          (筆者注 数字左は昭和・平成年 右は月。)
 田中さんは齢八十を超えて元気に川柳に取り組んでいる。

   高齢者の皆さん
   負けずに元気出して
   いきましょう!

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