No.10 西の風新聞目次
頼もしい高校生達
2003年4月11日付

 読売新聞が中学生以上の未成年者五千人を対象に実施した
「全国青少年アンケート調査」によると、青少年の四人に三人が日本の将来は「暗い」と思い、「外国に侵略されたらどうするか」の問いに五十六パーセントが「安全な場所に逃げる」「降参する」と答えたという。(二月二十二日付読売新聞)
 私達の年代からすると「今どきの若者は」と若干のショックを感じ嘆いて終わりにしてしまうのかも知れない。
 私はこの調査結果については、表面的に受けとめることなく慎重な解釈と理解をすべきと考えている。しばしば批判される戦後教育ではあっても、私は日本の若者達はそれなりに育っていると思っているのであるが、このことに関連して最近直接経験したことを紹介したい。
 それは去る三月、東海大学菅生高等学校吹奏楽部がウィーン公演のためオーストリアに遠征した時のことであった。
 吹奏楽部は開校と同時に創部、諸施設への慰問、数々の大会での賞の獲得等活躍が目覚しい。最近では第二十六回全日本アンサンブルコンテスト高校の部(クラリネット七重奏)において金賞に輝いている。
 ウィーンは世界的に有名なコンサートホールや劇場、個性ある美術館や博物館が目白押しで、モーツァルト、ベートーベン等の音楽家達ゆかりの地でもありいわば芸術と音楽の都である。
 そのウィーンでも指折りのホール、コンツェルトハウス大ホールで公演は行われた。二つのシャンデリアとビロード張りの座り易い座席、天井の高さは格別で、三階席まであり千八百人収容の立派なものであった。
 部員達(当時一、二年生六十五名)は、異国の地それも名立たるホール、満員の観客の温かな拍手と熱い声援の中で物怖じすることなく演奏を行った。
 私も保護者達を中心として公募した随行応援団の団長としてウィーンの人々の息遣いが感じられる会場にいたのであるが、自信に満ちた堂々たる明るい日本の高校生の振る舞いを目の当たりにして前述の調査結果からイメージされるものとは別の青少年(高校生)達に出会った思いがした。
 子ども達の教育は、単に教科面の学力だけではなく幅広い施しを加えることが必要と改めて感じた次第である。
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