リレー随筆「鮭っ子物語」  No.9

     「望郷の念募る」



 歳をとったのかな。事実、そう若くはないが…。
 加齢とともに、思うは故郷のこと。
 まして、先ごろ、小和田家発祥の地ということで、皇太子妃雅子さまに内親王誕生で、オシャギリの引回しがあった。

 その様子が、テレビ放映を見た途端、感涙に咽ぶ自分があった。
 何故なんだろう?
 村上で生まれ、村上で育った村上っ子なら誰しもが思うのは、オシャギリとイヨボヤのことは、脳裏から離れないといっても過言ではあるまい。そう、祭りの来るのを指折り数え、いつかいつかと気を揉んでいたほど、祭り大好き男だったしな

 ところで、四季折々に、山海の珍味を食する事の出来る、幸せを味わえるのも村上ならではのこと。
 そうだ、春まだ浅いころは古川で鮒釣り、春には門前川でウグイを、夏は言わずもがな三面川で鮎を追いかけ、秋ともなれば、三面川河口でのハゼつりだ。
 「浦島さん、鮎をいっぱい捕ってコイッシャ」とよく父親に揶揄されもした。
 海の川も大好きだった。
 そして、冬、イヨボヤだ。
 子どものころ、空き缶を持って、船から運び出されるイヨボヤから、こぼれ落ちるハラコを、一粒一粒拾って歩いたあのころのことが、鮮明に浮かんでくる。

 何が何でも、村上っ子なんだな。
 仕事がら、取材等でいろいろな分野の人と会う機会が多い。
 そこで必ず尋ねられることがある。
 「もしかして、新潟の北の方の出身?」
 もしかしても、へったくれもない。
 臆することは、全然ない。
 「そうです!村上です」と、胸を張って答えます。村上を誇りに思っているものな。

 何年経とうとも、村上弁のイントネーションは、修正不可能なのかも知れない。なかにはショウズン語を話す人の多いが…。
 それほどまでに村上を懐かしみ、村上を愛してやまないのだ。
 同僚いわく、「ほんとうに、村上のことが頭から抜けないんだな」と。

 今時、自分は希少価値なのか。そういう人がいてもイイネッカ。





リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。 (編集部)



大滝 正次
(おおたきしょうじ)
   村上小学校卒業(昭和25年3月
   寿出版株式会社取締役編集部長





村上高校時代の同級生と共に
左端が筆者



筆者出身町内のオシャギリ(片町)
乗せ物は蘭陵王



イヨボヤ会館の動く壁画
イヨボヤ産卵の様子



筆者が編集人の月刊「寿」
薬局等にあります



次回予告
市岡 貞雄(いちおかさだお)
村上小学校卒業
マイティーサービス株式会社管理部

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