http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001

   新潟動物ネットワーク  No.59

子猫を拾って

それは9月第2週目土曜日の、突然の出来事でした。友人から、私の自宅近所の松林で子猫が捨てられているらしいと聞いたと連絡が来たのです。心配だから見に行ってみると言う友人に深く考えずついて行ってみると、道路脇の松林の遊歩道に、ダンボールが置かれていました。近づいても物音一つせず、こわごわ開けてみると、子猫が何と4匹も入っているではありませんか!目は開いているものの、大きさは手のひらサイズです。開けた途端、一斉にニャーニャーと必死な様子で鳴き始めました。

「ちょっと見に行ってみるか」位の気持ちで行った友人と私は、4匹の子猫を前に、途方にくれてしまいました。二人とも犬の飼育経験はあるものの猫に対する知識は全くなし。「ど、どうしよう..」何をどうしたらいいのやらわからず、とりあえず水でも..とコンビニに走りそうな友人を止めて、まずNDNの猫班の方に連絡してどうすればよいか相談しました。

すると電話越しの泣き声などから生後10日から2週間程度ではないかと推定される(これにはびっくり)、もしそうだとすると、すぐに医者に連れていかないと命にかかわる可能性がある、保護できるなら保護して里親さんを探すこと、NDNでは保護者さんがいるかどうかわからない、保護するなら保護費、検診費、里親探しなどもろもろの手間と費用もかかることなどを説明いただきました。

つまり、ここで拾うならそれなりの「覚悟」が必要という事です。これを第一発見者の友人に伝えたところ、「ちょっと私では無理..」となり(いきなりこれらを言われたらひいてしまうのも当然ですが)、かといってこのままこの子達を見捨てておけず、私が引き受けることになりました。

それから、さあ大変。もう夜だったので、まだ開いている動物病院を探し回り、ノミダニチェックをしました。そこで初めて、4匹のうち2匹は生まれつき足が本来とは違う方向に曲がっている奇形がある事が判明したのです。とりあえず歩行には問題ないようですが、足が不自由なこの子達に果たして里親さんは見つかるだろうか..と最初からすっかり心配になってしまったのでした。

その後、我が家と友人宅では家族の同意が得られないため、何とか猫班さんに保護者さんを探していただき、最初はお一人が4匹、その後大変なのでもう一人の保護者さんと2匹に分けてお願いする事ができました。子猫達は体調を崩しやすく、お腹の調子が悪かったり、急に食欲がなくなって体調が急変し、一度は夜間救急外来に駆け込むなど、保護者さんは検診以外で何度も動物病院に行かれるなど多大な苦労の中、足の不自由な子達も日常生活にはほぼ問題なく4匹全員が無事育ち、離乳できたのでした。この場を借りて、2名の保護者さんにお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

その間、私はNDNでの里子登録、外部会場でのNDN譲渡会へ2回参加、外部ホームページでの里親募集登録、緊急里親チラシ作成、新潟市獣医師会への里子登録と、猫班スタッフさんのアドバイスのもと出来る事は全てやりました。

特に足の不自由な子達2匹が決まるかどうかがとても心配でしたが、何とか譲渡会と毎月の里親募集チラシから里親希望者さんが現れ、4匹のうち2匹は一緒に、残り1匹ずつも無事里親さんが決まりました。ここに至るまで予想以上に大変な事の連続でしたが、それぞれが一生可愛がって下さる里親さんにめぐり会えて、感無量です。

私はNDNで犬班に所属するものの実際の譲渡活動にかかわる事がなく大変さが実感できなかったのですが、今回子猫発見から譲渡まで、保護者さん、猫班スタッフさんはじめNDNスタッフの方々、ご協力いただいた獣医さんなど、見えない部分で沢山の方々善意と苦労、努力があっての「譲渡」であり、1匹の命を救う大変さをほんの一端ですが知ることができました。

捨てる人には色々と事情があるのだと思いますが、「誰かが拾ってくれるだろう」とどこかに捨てるというのは小さな命を殺すのに等しい行為だと思います。このような事が今も全国の色んな場所で起こっているだろうと思うと胸が痛みます。捨てれば、保健所に持っていけば何とかなる、と思うような人達が一人でも減るよう、NDNの活動が必要なくなるように、私も引き続きできる範囲での活動を続けていこうと思います。

新潟動物ネットワーク/犬班
伊藤 実保子
平成20年12月1日掲載

バックナンバー
1 里親探しています。 2 なぜ、のら猫になるの?(その1)
3 なぜ、のら猫になるの?(その2) 4 なぜ、のら猫になるの?(最終回)
5 「馬」のこと 6 犬班の譲渡活動について
7 学校啓発班の活動 8 多頭飼育班の活動について
9 フリマの活動について 10 動物虐待を考える
11 レクレーション活動について 12 中越地震における新潟動物ネットワークの対応
13 「お礼状発送係り」を担当して 14 2004年度会報作成を担当して
15 携帯当番を担当して 16 ボランティア活動とお金
17 “動物好き”に翻弄される動物たち 18 「生きる使命を与えられた動物たち」
    ~猫の一時保護を通して~
19 パネル展と講演会のお知らせ 20 一時保護で変わる犬の運命
21 動物たちを考えるパネル展 22 外国人の目から見た日本の動物たち
23 猫の飼主探しから、素敵な出合い 24 村上東中学校で「命の大切さについて」
25 「動物たちへ少しのお手伝い」 26 「冬の野良猫」
27 小さな命を救いたい 28 うさぎとラビットファー
29 捨て猫しゅんすけと新潟動物ネットワーク 30 リニューアルしました
31 今年は写真展とトークショー 32 優しい出会い
33 小さな命の移動販売 34 クーちゃんと暮らして
35 山に捨てられた猫 36 こどもたちに「命の大切さ」を伝える活動
37 ある犬の繁殖場 38 ある繁殖業者の廃業
39 愛犬からのメッセージ 40 聴導ねこ誕生!?
41 新潟動物ネットワークに参加して 42 気になっている事
43 中越沖地震 44 NDNフェスティバル「身近な動物問題に目を向けて」
45 NDNフェスティバル
 「身近な動物問題に目を向けて」を終えて
46 猫の譲渡会をします
 47  動物との係わり合いとアクシデント 48  NDN カレンダー
 49 雑感・携帯当番 50 犬の一時保護活動を通じて
51 ホームページのリニューアル 52 大平森林公園での犬の譲渡会を終えて
53  犬と猫の譲渡会 54 子猫を拾ってしまった
55  今年のフェスティバルは盛り沢山 56 進化していくNDNフェスティバル
57  譲渡会を終えて思う事(犬班) 58 「わんにゃんカーニバルIN朱鷺メッセ」を視察して
59 子猫を拾って     

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新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。
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