http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001

   新潟動物ネットワーク  No.18

 「生きる使命を与えられた動物たち」〜猫の一時保護を通して〜


 保健所には毎日たくさんの動物たちが持込まれ、大多数が殺処分されています。迷子になって帰れなくなったり、野良猫だったり、飼い主からの持ち込みであったり。新潟動物ネットワーク(NDN)では収容されている犬や猫に新しい家族を見つけるために、助けられる子は保健所から引き出し、「一時保護」という形でスタッフが保護することがあります。

一時保護期間中には、新しい家庭で終生可愛がってもらえるように、人や動物に馴れさせたり、具合が悪ければ治療したり、心に負った傷を癒しつつ、どのような環境にでも適応できるようにしなければなりません。

今年に入り、私が保健所から一時保護をした猫は、現在保護中の3匹を含め13匹になります。最初は風邪を引いていたり下痢をしていたりと具合が悪い場合が多く、中でも生後2〜3週間の子猫の時は、3時間おきにミルクをあげ、排便排尿も介助が必要と、こちらが寝ている時間はほとんどありませんでした。それでも辛いと思ったことは一度もなく、むしろ子猫の無邪気さやしぐさに癒されることの方が大きかったです。

そして、新しい家族の元へ貰われて行く時には保護者にしかわからない特別な思いがあります。まるで娘をお嫁に出す親の気持ち、とでもいうのでしょうか。手塩にかけた子達が誰よりも幸せになれるよう祈って送り出します。なぜなら、その背景には助けることができなかった無数の命があるからです。保健所から引き出す際には助けられる子とそうでない子の線引きをしなければならず、スタッフは毎回胸を引き裂かれる思いです。

NDNのホームページに一時保護をしている子を掲載すると、写真を見て「この子がいい」と指名してくれる人もたくさんいます。一度は「不要な命」として生きる道を閉ざされそうになったのに、ホームページに載せた途端、飼いたいと言ってくれる人がいる。なんとも複雑な心境ですが、保健所に収容されている犬や猫の多くは、そんな普通の良い子達ばかりなのです。それなのに誰にも知られずに処分される動物がなんて多いことか・・・・・。

これから犬や猫を飼おうと思っている人は、ペットショップやブリーダーを見てまわる前にどうか保健所にも足を向けてください。純血種でなくとも互いに愛し愛され支えになってくれるパートナーがきっといるはずです。

保健所にいる全ての動物を救うことはできません。特に、猫は春先から秋の終わりまで毎日のように持込まれ大半が殺処分されています。「悲しい」「可哀想」の一言では言い尽くせない、毎年繰り返される悪循環です。その悪循環を断ち切ることは残念ながら現状では難しいですが、悲劇を少なくすることは可能です。猫の不妊去勢、完全室内飼育などの啓発活動を行政に働きかけ、一般の飼い主に広めていくことが重要だと考えます。

1匹でも助かる命が増えることを望みます。

新潟動物ネットワーク/猫班
黒井 和美
平成17年7月6日掲載


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新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。
もう一度ペットとはを考えてみませんか・・・・

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