リレー随筆「鮭っ子物語」  No.27

恩師のふるさと

 
 村上市出身でもない私がこの「鮭っ子物語」に参加させて頂くのは何だか図々しい気がするのですが、東京村上郷友会で赤見さんと知りあったのがきっかけで今こうして筆を執っています。

 そもそも私と村上市は不思議な縁があるように思います。私の小学校の恩師は村上市出身の方でした。彼の授業はとてもユニークでした。というのも教壇で教師が話すのを生徒が聞く、というスタイルを嫌っていつもグループであるテーマについて調べるという授業をするのです。あるテーマに「ある魚について調べる」のがありました。私の出身地の和歌山も海に囲まれて魚のたくさん取れる所であるからそれにちなんだテーマだったのです。私の班は「鮭」について調べることになった。それを知った先生はある日私に村上の鮭について話して下さったのです。自分が自然に馴れ親しんで育ったこと、村上の鮭がどんなにおいしいかということ。その頃既に50才を超えていただろう彼は、いつも穏やかな方だったのですが、その時は目を輝かせ少しはずんだ声で活き活きと語るのです。私はその姿にとても驚き、そして村上の鮭に興味を抱きました。それを知ってか知らずか、彼は自宅に私を招き、実家から届いたという鮭をごちそうしてくれたのです。まだ十才そこそこだった私ですが、身のひきしまった味の濃いあの焼き鮭を食べて、思わず「家のと全然違う」と言ったことを覚えています。

 大学進学のため私は上京し、今またこうして村上の鮭と関わりを持つことができました。縁というのは実に不思議なものです。私に村上の鮭と知り合わせて下さった恩師は、定年を迎えた後、今は故郷村上にお帰りになったそうです。この季節、今ごろはきっと鮎つりでも楽しんでいらっしゃることでしょう。









                 
リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。 (編集部)
横尾 美帆
(よこお みほ)

平成8年和歌山市立八幡台小学校卒業
現在、早稲田大学第一文学部二年




 当時(小学校四年生)の時の遠足の写真


大学入学後、サークルの先輩と(現在)
右筆者


現在の種川
江戸時代、鮭は村上藩の重要な財源とされ、大切にされてきました。鮭の保護、増殖に尽くした人が、藩の下級武士「青砥武平冶」です。彼は、鮭の回帰性に着目し、鮭が安心して産卵できる川を整備した「種川の制」を開発した。


次回予告
川村 正(かわむら ただし)
昭和21年3月 山辺里国民学校卒業
    現在 東京都板橋区在住

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発行:デジタルショップ村上
 新潟県村上市・岩船郡7市町村  2001年1月創刊  ムラカミ21ドットコム
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