リレー随筆「鮭っ子物語」  No.23

ふるさとを離れて


  今年も菩提寺からおやじ・おふくろの年回法要の連絡がきた。17回忌と13回忌である。そしてお盆には、村高卒業当時の同級会が瀬波温泉で2年毎に開催される年でもある。

 村上を離れ四十余年よくも生き延びてきたものと、昨年12月に第二の職場で無事定年を迎え、「親があって今日の自分があるんだなあ!」と感じ、墓前に「ありがとう」をいってきた。
 言葉にあまり訛りがないので「あなたはどこの生まれか?」とこれまでによく聞かれる。「新潟県村上市です!」。いまは知らない人は少なくなったが・・・。
 知っている人は「お茶が美味しいところですね」あるいは「鮭が来る川があるんですってね!」新潟の友達に勧められて酒を飲んだら、「あんな美味しいお酒は飲んだことがない」とか云われて、その都度シーズンになると送らざるを得なくなった人も結構いる。さいわい妹が村上にいることから電話で頼んでいるが・・・。
 とくに数年前から「ふるさと宅急便」とかで地方の特産品が増えてきた。貰った側に希少価値観がなくなってきているのが残念である。
 村上を離れて村上の特産品にこだわるのはわたしだけだろうか?
最近は早めに岩船産の「新米」を送ることに喜ばれている。お礼の言葉をもらう度に、それなりにふるさとを大切にしてきたと思う。

 ところで私はお城山が大好きだ!とくに4月〜5月にかけての桜、新緑の頃が大好きだ。
 思えば、親父の仕事の関係(土木出張所)で小学校四年生の頃に転校してきて三之町に住んでいた。その頃は遊び道具もなく学校帰るなり、お城山で「ターザンごっこ」や「探検ごっこ」で思う存分駆け回った。そして秋には「あけび」や「栗」を採ったりして少年時代を過ごした印象だろうか?
 それともお城山から一望に見渡せる村上市、日本海に注ぎ込む三面川の魅力であろうか?

 最近、東京近郊にも天然温泉なるものが出てきた。近県の温泉(宿)も安く行けるようになった。そのためか温泉行く機会が増えてきた。年のせいばかりでもないようだ。しかし温泉に入っていても何か落ち着かない。
 村上に帰るとすぐ瀬波温泉に飛んでいく、独りでゆったりと浸かる。時間があれば近郊の温泉を訪ねる。心を癒し、体を癒してくれるのはやはりふるさとの温泉に入ったときである。

                  
リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。 (編集部)








川ア  昇
(かわさき のぼる)

村上小学校卒業(昭和25年3月)
元三共株式会社勤務



筆 者





大好きなお城山














次回予告
小日向 淳子
(コヒナタ アツコ)
昭和00年3月 村上小学校卒業
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